2008年10月22日水曜日

2008.09 作者 皆川会舟

誉れを丹青に馳せたり

千字文展の特選作品
誉れという印象的な字形から繰り出された伸びのある流れが秀逸
墨を溜めるところと解いてやる気持ちが実によくできている。

2008.09 作者 山口秋水

千字文展の特選作品です。
前傾させ勢いをつけた字形に大小粗密を巧みに配置し、見事な広がりと伸びを表現した作品となった。

2008.09 作者 藤田丁紅

切磨しん規

千字文大会での特選作品となりました。
グーパーグーパーを効果的にどう構成するか悩みました。意欲的に挑戦できた結果が出てうれしく思います。


2008.7 作者 藤田丁紅

行き悩む牛の歩みに立つ塵の風さへ暑き夏の小車

上空に広がりを見せた伸びのある行が素晴らしい。夏の小車の潤いのある納めが品格を感じさせ、人品を物語っている。

2008.2 作者 鈴木礼子

正統の章法を駆使し静かに書き進めている。とどこほりなくであえて省略せずに大胆にアップさせ勢いをつけたのが成功した。潤渇の対比と、筆の落ち着きある筆致も見事。

2008.2 作者 田中蔦江

おほひなる人がてがみの仮名文字はとどこほりなく筆ぶとにして

正統の章法を駆使し丹念に丁寧に書き込まれている、筆という印象的で遠性のある伸びやかな筆致が見事。

2008.2 作者 高田澄子

おほいなる人が手紙の仮名文字はとどこほりなく筆ぶとにして

三行の絡み合う行の姿態が美しい、仮名文字の伸びを支え消えていくとどこほりなくを見事に補佐する筆ぶとにしてが効いている。筆字の絡み合う存在感は抜きんでている。

2007.11 作者 堤恵舟

持塩杷酒但飲之
莫学夷齋事高潔

呉昌石を学んでその特徴を十分に咀嚼している。墨の重量も効いている。長年の修練が各文字に現れ見る者を飽きさせない。

2007.8 作者 藤田光舟

椰子駱駝砂漠の遺跡エジプトは原始の姿そのままにして 石橋犀水歌

椰子駱駝と印象的な漢字をどっしりと据え、側鑑風に行を添えた、墨量の優しさが作者の人柄を物語っていて微笑ましい。更に枠を突き破り胆力を見せて欲しくもある。

2007.8 作者 石井久舟

持塩杷酒但飲之莫学夷齋事高潔

呉昌石を意識して意欲的に学習する姿が良く出ている。視点を高く文字を書く欲から離れられると更に上達への道が開かれる。

2007.8 作者 皆川会舟

夏と秋と行き交ふ空の通ひ路はかたへ涼しき風や吹くらむ

一行目の込んだ構成に二行目が伸びで答え行間相互の響きが素晴らしい。頭少々抑え気味に出だした方が更に良くなる。

2007.3 作者 鈴木礼子

天下のけい才を得て之を教育するは三の楽しみなり

潤渇鋭く文字の配分も文句なし、込みがちな上半部分を楽しみなりと受け流す手腕は見事。

2007.3 作者 大倉健太郎

雲中白鶴

高校の卒業記念にと、最後のお稽古日に一発で仕上げた。
骨格確かに、気力はつらつとして誠に高校生らしい気合いの書となった。目標を定め、一分道を突き進んでいって欲しい。

2007.3 作者 高田澄子

浅緑春立つからに鶯の初声待たぬ人ぞあらじな

春を待ち湧き出でる様な優雅な線が美しい。大きく揺らぐ構成を、人ぞあらじな、と墨量を盛りシンプルに抑えたのは見事。

2007.2 作者 田中蔦江

春立てば花とや見らむ白雪のかかれる枝に鶯の鳴く

春立てばのすばらしく落ち着いた構えと組み合わせが見事。大きく振った腕も立派だが、前半のしっとり感が今少しつづいてくれたらと思う。

2007.2 作者 皆川会舟

玄奘のむかし学びしナレンダの学府のあとをまさめにしけり 石橋犀水歌

書道学会創設者の石橋犀水先生の歌を、聳え立つような構成で見事に仕立て上げたこの旋律が群を抜いている。

2006.10 作者 山口秋水

白雪に羽うちかわし飛ぶ雁の数さへ見ゆる秋の夜の月

余分な動きを排除して尚、端的に広い世界への伸びを働きかけた実に見事な作品となった。一行目の微妙な地滑りも最後の夜の月で完全に昇華されている。雁や数は更に一考を要す。

2006.9 作者 高田澄子


山雀の啼きかはす声するどけど木魂寂しく谷伝ふなり

大きなうねりを持ったメリハリのきいた作となった。 潤渇も大胆に意欲的、山二画目が重なったのがおしい。